相手を不快にさせない話し方の基本:気まずくならずに会話を切り上げるコツ
円滑な人間関係を築く上で、会話をどのように始めるか、どのように続けるかは重要なスキルです。しかし、同様に大切でありながら、難しさを感じる方が多いのが「会話の切り上げ方」ではないでしょうか。
「この話をいつまで続けるべきか」「相手に悪い気がする」「どう言えば自然だろう」など、気まずさを避けたいという気持ちから、ついつい会話を引き延ばしてしまったり、逆に abrupt(唐突)に終えてしまったりすることもあるかもしれません。
ここでは、相手への配慮を忘れずに、気まずい雰囲気を作らずに会話を終えるための基本的な考え方と具体的なコツをご紹介します。
なぜ会話の切り上げが難しいのか
会話をスムーズに切り上げるのが難しいと感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 相手への配慮: 相手がまだ話したいのではないか、自分の都合で会話を終えるのは失礼ではないか、といった気持ち。
- 気まずさの回避: 会話を中断することで、沈黙が生まれたり、相手が不機嫌になったりするのではないかという不安。
- 適切なタイミングの見極め: どのタイミングで切り出せば自然なのか分からない。
- 断り方のバリエーション不足: 毎回同じような理由で断ることに抵抗がある、あるいは他にどんな言い方があるか思いつかない。
これらの悩みは、コミュニケーションにおいて相手を大切に思うからこそ生まれるものです。しかし、上手に切り上げることは、自分自身の時間を管理するためだけでなく、会話全体の印象を良くし、次の機会につながることもあります。
スムーズに切り上げるための基本的な考え方
会話を上手に終えるために、まず心に留めておきたい基本的な考え方です。
- 「切り上げること=失礼」ではない: 必要に応じて会話を終えることは、時間管理や次の行動に移るために自然な行為です。一方的に話を打ち切るのではなく、適切な方法で行えば失礼にはあたりません。
- 区切りやタイミングを探す: 会話の流れの中で、話題が変わったとき、一つの話が一段落したときなど、自然な「区切り」を探しましょう。相手の話が盛り上がっている最中や、真剣な相談を受けている最中は避けるのが賢明です。
- 相手への感謝や労いを伝える: 会話に時間を割いてくれた相手に感謝の気持ちを伝えることで、良い雰囲気で締めくくることができます。「お話できて楽しかったです」「時間をありがとう」といった一言があるだけで、印象は大きく変わります。
- 次の行動や予定に繋げる: 可能であれば、「〇〇について、また今度詳しく聞かせてください」といったように、今後の継続や再会に繋がる言葉を添えると、相手も「この話はここで終わりだけど、関係が終わるわけではない」と安心してくれます。
具体的な切り出し方のフレーズとテクニック
会話をスムーズに終えるための具体的なフレーズや行動をご紹介します。状況に合わせて使い分けてみてください。
-
時間的な制約を伝える:
- 「すみません、そろそろ(次の予定がある/戻らないといけない)時間になりまして。」
- 「楽しい時間はあっという間ですね。残念ですが、〇時には失礼しないといけません。」
- 「(電話で)あ、すみません、立て込んできたので一度失礼してもよろしいでしょうか?」
-
会話の内容に区切りをつける:
- 「〇〇さんのお話、とても参考になりました。今日のところは、この辺で一度整理してみようと思います。」
- 「その件については、おかげさまでよく理解できました。」
- 「〇〇について、たくさん聞かせていただいてありがとうございます。」
-
感謝と今後の可能性に触れる:
- 「今日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。とても勉強になりました。」
- 「色々とお話しできて楽しかったです。ぜひまた近いうちにお話しましょう。」
- 「〇〇さんの詳しいお話、また改めてゆっくり聞かせていただけますか?」
-
非言語コミュニケーションを活用する:
- 会話の区切りで、少しずつ立ち上がる動作をする。
- 手に持っているもの(カバン、ノートなど)をまとめる。
- 時計をさりげなく見る(ただし、頻繁すぎると失礼になります)。
- 体の向きを、その場を離れる方向へ少し変える。
これらのフレーズや行動は、単独で使うのではなく、組み合わせて使うことでより自然になります。例えば、「お話できて楽しかったです。残念ですが、そろそろ次の予定がありますので、今日はこれで失礼します。また改めてご連絡しますね。」のように、感謝+理由+今後の可能性を組み合わせるのが効果的です。
状況別のヒント
- 長電話を切り上げる:
- ある程度話したところで「そういえば、もうこんな時間だね」と時間に触れる。
- 「そろそろお夕飯の準備かなと思って」「〇〇(家事など)を済ませてしまいたいから」など、具体的な次の行動を理由にする。
- 「今日の話を聞いて、少し考えてみたいことがあるんだ」と、一旦考える時間を持ちたい旨を伝える。
- 立ち話で話し込んでしまった場合:
- 「すみません、つい話し込んでしまいました。私、〇〇(目的地)に行かなくてはいけないので、また!」と、本来の用事を理由にする。
- 「それでは、またどこかで!」と再会への期待を込めて締める。
- 会議や打ち合わせで時間通りに終える:
- 事前に終了時間を参加者全体で確認しておく。
- 終了時間の少し前に「あと〇分ですが、何か話し残したことはありますか?」とアナウンスする。
- 時間になったら「時間になりましたので、本日の議題はここまでといたします。続きはまた次回にしましょう」と明確に区切りをつける。
まとめ
会話を上手に切り上げるスキルは、決して相手をないがしろにするものではなく、自分と相手の時間を尊重するための大切なコミュニケーション術です。
気まずさを恐れすぎず、基本的な考え方である「失礼ではないこと」「区切りを探すこと」「感謝を伝えること」を意識してみましょう。そして、具体的なフレーズや非言語のヒントを参考に、少しずつでも実践してみてください。
スムーズな会話の切り上げができるようになると、コミュニケーションへの苦手意識が少し和らぎ、より心地よい人間関係を築くことに繋がるはずです。